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働く人や地域住民の健康を守る「巡回健診」の業務内容と看護師の役割とは

巡回健診は、依頼を受けた企業や地域を巡回し、健康診断を行うというものです。どちらかというと医療行為を行うというよりは、病気の発見や予防が主な目的になりますが、看護師にとっても、スキルを活かせる場の一つです。また、巡回健診は、さまざまな場所に出向くことで、多くの人と一期一会の出会いも多く得られます。その中で看護師として、その人々の健康を支える存在となりうることが、この業務の魅力にもつながります。

巡回健診とは

依頼があった場所へ赴いて健康診断を実施

企業や団体、学校などには、労働安全衛生法により、定期的な健康診断をするよう定められています。とはいえ、大勢の社員や職員が属する事業所の場合、病院を受診する手配をするのは大変なことです。そこで、依頼を受けた事業所などへ巡回車で赴き、健康診断を行うのが、巡回健診です。また、巡回健診は地域住民のために行われることもあります。その場合は、地方自治体の保健センターなどを巡回し、住民の健康診断や子宮がん検診、乳がん検診を実施する場合もあります。

一般的に健康診断は、4~6月の春や、9~11月の秋に集中して行われるため、巡回健診にとっては、その時期は繁忙期となるケースが多いです。

健診の準備から後片付けまでが業務の一環

巡回健診は、実際の検査や問診などを行うだけでなく、会場設営から後片付けまでが業務内容となります。一般的には次のような手順で巡回健診を行います。

会場準備 依頼のあった企業や団体の事業所(会議室や食堂など)へ集合し会場を設営。担当者の指示の元、所定の場所へ機材の搬入、机の並べ替え、必要器具、検診の順路を示す貼り紙、案内板等の準備を行う。
健康診断実施 基本的に健診開始とともに受診者が訪れ、それぞれ主体的に検査項目に応じて移動してもらう。健診を行う側は、それぞれの担当箇所で検査表を預かり検査を実施。検査結果を記入後、返却し、次の受診者の対応を行う。
健診終了・後片付け 全受診者の検査が終了したところで会場内の後片付けを開始。機材の撤収や搬出、清掃を全員で協力して行う。会場設営前の状態に戻して巡回健診終了。

巡回健診には、看護師以外にも医師、臨床検査技師、放射線技師などの医療スタッフ、あるいは一般職員が関わりますが、それぞれ準備から片付けまで全員で協力して行います。

巡回健診の一般的な検査内容

巡回健診で行われる検査では、次の項目が一般的です。

測定 身長、体重、聴力、視力
検査 検尿、血圧測定、心電図、眼底・眼圧
診察 内科的問診
採血 貧血、肝機能、血中脂質、血糖に関する生化学及び血算検査
レントゲン 胸部レントゲン、胃部レントゲン
がん検診 子宮がん検診、乳がん検診

検査内容の中で、診察やがん検診については専門の医師が、レントゲンは放射線技師が担当することになります。また、心電図に関しては、臨床検査技師が担当することが多いです。看護師は検尿や血圧測定などの検査や、採血を主に担当しますが、人員が不足している場合は適宜、他の検査にも配置される可能性があります。

勤務開始時刻は比較的早め

巡回健診は、依頼された企業や団体、学校の勤務開始時刻か、勤務中に合わせて行われることがほとんどです。そのため、遠方での実施となると、集合や勤務開始時刻は早朝となるケースが考えられます。その分、検査が終了すれば勤務も終了となり、スケジュールによっては半日でその日は終了という場合もあります。

巡回健診で看護師に求められる役割・スキルとは

効率よくスムーズに回すことが第一

巡回健診では、受診に訪れる人たちは勤務時間内ということも多いため、できるだけ待ち時間を少なくスムーズに健診が進行できるのが第一です。そのため、事前にチームで健診の流れを確認することはもちろんのこと、看護師自身にも効率的な動きが求められます。

また、検診中の混み具合を見て、適宜空いている検査へ受診者を誘導するという配慮も求められます。さらに、どれほど混雑しても、落ち着いて業務に取り組むことが重要です。間違っても、受診者のデータを紛失する、あるいは他の受診者と入れ替わるなどのミスは起こしてはならない業務です。

採血のスキルが高いほど重宝されやすい

採血など実際の技術面でも、素早く血管を見つけて採血が行えるなどのスキルが求められます。そのため、ベテランであればあるほど、即戦力として必要とされやすい傾向にあります。

不測の事態にも対応できる能力

巡回健診では、基本的に健康な人が訪れますが、中には検査中に体調不良を起こす人もいます。特に採血では、採取している最中に迷走神経反射で意識を失うケースが考えられ、時にはルート確保が必要となる場合もあります。そのような不測の事態にも慌てず対応できる能力は求められます。

社会人としてのマナーと受診者への気配り

巡回健診では企業などの従業員や、地域住民などビジネスパーソンを相手にする機会が多いです。そのため、社会人として言葉遣いや対応など基本的なマナーができていることも前提条件となります。業務をする上でも、社会人としてしっかりスケジュール管理ができ、時間厳守ができる性格であることは重要な要素です。万が一遅刻などをした場合、その分巡回車の出発が遅れ、チームスタッフだけでなく受診者にも迷惑をかけることになるからです。

また、健診を受ける人の中には、前年度の結果が悪く不安を抱えている人や、既に持病があり治療中の場合もあります。そういった人からは、検査の最中に正常値かどうか質問されることがありますが、その場合は不安を和らげられるような言葉かけも必要です。効率だけを求めるのではなく、それに加えて看護師としての気配りができることも、重要なスキルの一つとなります。

巡回健診のメリット・デメリット

スポット勤務は可能だが家族の協力が必要となることも

巡回健診は夜勤がなく、アルバイトやパートで勤務することも可能です。そのため結婚して仕事と家庭とを両立したい人にも適した業務です。また、半日だけ、一日だけなどのスポット勤務も可能で、残業は少ないこともメリットとして考えられます。

ただし、遠方での巡回健診では、集合が早朝となるケースや、場合によっては出張し、宿泊になることもあります。そうした場合は、家族の協力が得られる環境でないと続けるのが困難となる可能性も考えられます。

巡回健診の仕事の見つけ方は?

求人サイトでの掲載が多い

巡回健診の募集は、実際に健診を請け負う会社から出されることが多いです。しかし、非公開求人となっているケースも多くあります。できるだけ多くの情報を得たい場合は、看護師専門の求人サイトを活用することがおすすめです。そうした専門のサイトであれば、アドバイザーやキャリアコンサルタントが担当についてもらえるケースも多く、自分に合った求人を見つけやすいという利点もあります。

巡回健診は病気予防と健康増進に注力する業務

スキルとともに協調性や柔軟性も必要とされる

巡回健診では、病気の治療、ケガの処置などといった医療行為を行うより、ビジネスパーソンや地域住民の健康増進、病気予防に重点が置かれた業務です。そのため現場での看護ケアより、社会全体の病気予防や健康増進に興味関心を持つ人には適した業務と言えます。

とはいえ、実際の健診では、受診者を待たせることなく健診をスムーズに進行できる手際の良さが求められます。それには検査における技術的なスキルとともに、混雑した現場を見極め、臨機応変に空いている検査へ誘導するなどの柔軟性や判断力を持っていることも重要です。もちろん急な体調不良を訴えた受診者には迅速で適切な処置を行う必要があります。

また、巡回健診は他の医療スタッフなどと共に準備から後片付けまでを行うことになるので、チームワークも大切です。そのために協調性も求められます。勤務自体は夜勤がなく、自分のライフスタイルに合わせて動きやすい業務です。さまざまな場所で看護師としてのスキルを発揮したい、と考える人は一度巡回健診の業務を検討してみられてはいかがでしょうか。

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