看護師のスキルアップにつながる資格の数々と取得時の注意点
看護師は国家資格でそれだけでも一生働けますが、さらにスキルアップするには将来に役立つ資格を取得するのがおススメです。
毎日の業務で忙しいでしょうが、それに流されずに将来を見すえて資格取得を目指しましょう。
ここでは看護師のスキルアップにつながる資格を「医療系」「介護系」と「それ以外」の3つのジャンルに分けてご紹介します。
看護師のスキルアップにつながる資格は幅広い
看護師が働く現場は医療業界が中心ですが、それ以外にも介護分野や福祉、健康管理、健康維持など幅広い分野の資格があります。
スキルアップを考えるなら、医療以外の分野にも目を向けてみるといいでしょう。
看護師のスキルアップにつながる各分野の資格
各分野の資格をざっくりと見てみましょう。
医療系の資格
医療系の資格には、保健師や助産師の他に消化器ケア、循環器ケア、手術看護ケアなどそれぞれの診療科で役立つ資格があります。
介護・福祉系の資格
介護系の資格としては、認知症ケア専門士、介護支援専門員、ケアマネジャー、社会福祉士、社会福祉主事、介護福祉士などがあります。
医療・介護系以外の資格
医療や介護系以外でも看護師の資格と経験を活かして、さらにスキルアップする方法があります。
その場合の資格としては、臨床発達心理士、臨床心理士、チャイルドカウンセラー、グリーフケアカウンセラーなど多くの資格があります。
看護師のスキルアップで活かせるジャンル別資格の内容
では、それぞれのジャンルに分けて資格を詳しく見ていきましょう。
どんな資格があるのかを確認してから、自分が挑戦したいものを絞っていくといいですね。
看護師のスキルアップに活かせる医療系の資格
医療系には多くの資格があります。特に専門の診療科で活かせる資格が多いので、自分が進みたい方向を決めて取り組むのがおススメです。
保健師
保健師は病気の治療や看護に直接携わるのではなく、地方自治体などで地域住民の健康の保持や増進、病気予防などの活動を行います。乳幼児から高齢者まで幅広い年代が対象で、育児相談、生活習慣病、伝染病、介護、心の健康相談など仕事内容は多岐にわたります。
保健師になるには、看護師の国家試験に合格した後で保健師の養成学校に進み保健師国家試験を受験する方法と、大学や専門学校で看護師と保健師の統合カリキュラムを受けて看護師・保健師の国家試験をダブル受験する方法があります。
いずれの場合でも看護師の資格が必要で、さらに保健師の国家試験に合格する必要があります。
助産師
助産師は出産に立ち会い新生児のケアをするだけでなく、妊娠中の健康管理や食事の指導、産後の母子のケアや健康指導、母乳の指導や相談など産前産後の仕事を行います。助産師になるには看護師資格を取得後に助産師の養成学校に進み、国家試験を受験します。
消化器ケアに関する資格
消化器ケアで役立つ資格としては「消化器内視鏡技師」があります。これは医師の指導のもとで消化器内視鏡業務に携わります。内視鏡検査室で働く場合に取得しておくと有利です。
循環器ケアに関する資格
循環器専門ナース | 循環器疾患の患者の治療チームの一員として医師や他の看護師とともに治療にあたる |
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心臓リハビリテーション指導士 | 心臓病患者への食事や運動などの生活指導だけでなく心臓病予備軍(糖尿病、高血圧など)に対する生活指導などを行う |
体外循環技術認定士 | 人工心肺装置や補助循環装置などの操作の他、心臓手術などで活躍できる |
呼吸器ケアに関する資格
3学会合同呼吸療法士 | 循環器疾患の患者の治療チームの一員として医師や他の看護師とともに治療にあたる |
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心臓リハビリテーション指導士 | 心臓病患者への食事や運動などの生活指導だけでなく心臓病予備軍(糖尿病、高血圧など)に対する生活指導などを行う |
体外循環技術認定士 | 人工心肺装置や補助循環装置などの操作の他、心臓手術などで活躍できる |
糖尿病ケアに関する資格
糖尿病ケアに関しては「透析療法指導看護師」の資格があります。透析看護の知識や技術に精通した看護師に与えられる資格で、透析療法の現場で活躍できます。6学会合同で認定されます。
現在、日本では約32万人が人工透析を受けていて、増加の傾向にあります。透析療法指導看護師のニーズはますます高まると考えられます。
母子・小児ケアに関する資格
産前産後のケアは助産師の資格が必要ですが、それ以外にも次のような資格があります。
不妊カウンセラー | 不妊に悩み不妊治療を受ける夫婦の悩み相談やアドバイス、情報提供などを行う。妊活を行う人が増えているのでニーズが高い |
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マタニティビクス | 妊婦さんのためのエアロビクスで、妊娠中の体重コントロールやお産に必要な筋力アップなどを行う。看護師としてのアドバイスもできる |
NCPR(新生児蘇生法)インストラクター | 出産時の呼吸異常などのトラブルではなるべく早く心肺蘇生処置をする必要がある。資格を取得すると新生児蘇生法をマスターできるだけでなく、新生児蘇生法の指導者として仕事ができる |
看護師のスキルアップに活かせる介護系の資格
次に介護系の資格を見てみましょう。
認知症に関する資格
認知症ケア専門士 | 認知症患者とその家族に対して専門的な技術や知識で看護にあたる。上級資格に「認知症ケア上級専門士」がある |
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認知症ケア指導管理士 | 認知症患者さんへの適切な関わり方やケアとケアをする人に対しての指導や管理などを行う。初級と上級がある |
介護に関する資格
介護福祉士 | 介護分野の中で唯一の国家資格で介護が必要な高齢者や障害者に必要な身体介護や生活支援を行う。要介護者の家族の相談やアドバイスにも応じる |
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ケアマネジャー | 正式な資格名は「介護支援専門員」で、介護が必要な人とその家族から相談を受けて介護プランを作成し、自治体や事業者の橋渡しを行う |
社会福祉に関する資格
社会福祉士 | 高齢者介護だけでなく児童福祉や障害者支援、生活保護など社会福祉に関して幅広く相談や支援を行う国家資格 |
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社会福祉主事 | 地方自治体の福祉事務所などに勤務する際に任命される資格。社会福祉の制度やサービスを支援が必要な人に説明したり、アドバイスしたりする |
看護師のスキルアップに活かせる医療・介護系以外の資格
医療や介護とは少し離れますが、看護師の資格をさらにスキルアップできるものには、次の資格があります。
カウンセリングに関する資格
最近は心のケアを必要とする人が増えてきたため、次のような資格のニーズが高まっています。
チャイルドカウンセラー | いじめや暴力、不登校、非行などこどものケアを行う専門資格で、子どもだけでなく親のカウンセリングも行う |
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グリーフケアカウンセラー | 家族など大切な人と死別し悲嘆にくれる人の話を聞いて心のケアをする。緩和ケアや終末期看護の場面でニーズが高い |
産業カウンセラー | 仕事のノルマや上司・同僚との人間関係などからくる不安や不眠、ストレスなどを抱える働く人を対象にカウンセリングを行う仕事で企業内の労務部や医務室などで働くことが多い |
臨床心理士 | ストレスや不安、不眠などに悩む人の話を聞いてカウンセリングを行う。対象は大人から子どもまで幅広く、スクールカウンセラーとして働く場合に必要な資格 |
看護師が資格を取得してスキルアップする場合の注意点
看護師がスキルアップを目指す場合には、ここでご紹介しきれないほど多くの資格があります。それぞれの分野で働く場合に取得しておくと強みになるでしょう。
しかし、こういった資格はむやみに取得しても、十分に活かせません。看護師が資格を取得してスキルアップする際の注意点を知っておきましょう。
看護師がスキルアップするには方向性を固めること
これらの資格のそれぞれの内容を見てみると「これは役立ちそう!」と思うものが多いのではないでしょうか。しかし、自分のやりたいことや進みたい分野と合わない資格を取得しようとしても、時間と労力のムダになってしまいます。
今までの経験や適性から進路を考える
今まで配属された診療科が自分に合っているという場合は、さらにその道のエキスパートを目指すといいでしょう。
例えば透析の治療に関わってきて、「自分に向いている」「今後もこの分野で貢献したい」と思えるなら、それに役立つ資格を取得するのがおススメです。
または、今までは慢性期病棟で大人を対象に看護してきたが、自分は子どもが好きだという場合は小児医療に適性があるかどうかをよく考えた上で、そこで役立つ資格を目指しましょう。
その場合はいきなり資格取得に挑戦するのではなく、本当にその分野に自分が向いているのかどうかを見極める必要があります。
経験のない仕事は外から見ているだけではわからない面があるので、実際に小児看護のお手伝いをしてみて、自分に合っているかどうかを確かめましょう。
実務経験が必要な資格がある
国家資格から民間資格までさまざまですが、中には「実務経験が5年以上」などの条件が設定されているものがあります。
まずはその条件を満たすことが大切です。その間に自分がやりたい仕事や方向性を考えてみるといいでしょう。
まとめ
看護師は国家資格でそれを持っているだけでも素晴らしいことですが、さらにスキルアップするには資格取得に挑戦するのがおススメです。
看護師のスキルアップに役立つ資格としては、医療系だけでなく介護系やそれ以外の分野での資格など数多くあります。また、国家資格もあれば民間資格もあり、中には一定年数の実務経験が必要な資格もあります。
どの資格を取得するのかは、自分がこれから目指す方向をよく見極めて考えることが大切です。むやみに資格を数多く取得するよりも、本当に働く上で役立つものを選んで挑戦するといいでしょう。